「世界一甘いお菓子」と聞いたら、どんなスイーツを思い浮かべますか。その答えの一つが、インドを代表する伝統的なスイーツ「グラブジャムン（Gulab Jamun）」です。
たっぷりのシロップに漬け込まれた贅沢な甘さと、ほのかに香るスパイスの風味、その独特な味わいは日本でも注目を集めています。
そこで今回は、グラブジャムンの特徴やおすすめの食べ方、そしてその歴史に至るまで、インドが誇る「グラブジャムン」の魅力をたっぷりとご紹介します。
世界一甘い！グラブジャムンの特徴と魅力
グラブジャムンは、「Mithai（ミタイ）」と呼ばれるインドの伝統的な甘いお菓子の一つで、結婚式や宗教行事など、特別な日に楽しまれます。
直径3cmほどの小さなボール状のお菓子で、かわいらしい見た目をしていますが、一口食べると驚くほど濃厚な甘さが広がります。
この甘さの秘密は、シロップにじっくり漬け込む製法にあります。濃縮した牛乳と小麦粉で作った生地を黄金色になるまで揚げ、砂糖と水を1:1の割合で作るシロップ に浸すことで、中までしっかり甘さが染み込みます。シロップにはローズウォーターやカルダモンが加えられ、甘さに奥行きとほのかな香りを加えています。
「シロップ漬けのドーナツ」とも呼ばれるこのお菓子は、しっとりやわらかな食感も魅力の一つ。無糖の紅茶やコーヒーと一緒に味わうと、甘さが引き立ちながらもバランスよく楽しめます。
グラブジャムンのおいしい食べ方３選
グラブジャムンはそのままでも十分おいしいですが、少し工夫するだけで楽しみ方が広がります。おすすめの食べ方をいくつかご紹介しますので、ぜひ試してみてください。
温めてリッチに楽しむ
電子レンジで軽く温めると、シロップがとろっとなり、風味が一層引き立ちます。特にカルダモンの香りが際立ち、甘さの中に爽やかさが加わります。さらに、温かいグラブジャムンに冷たいバニラアイスクリームを添えれば、温度差が楽しい贅沢なデザートに。休日のティータイムにもぴったりです。
ヨーグルトでさっぱり
本場インドでは、グラブジャムンを無糖ヨーグルトと一緒に楽しむのが定番です。ヨーグルトのさっぱり感が甘さを中和し、軽やかな後味に仕上がります。さらに、レモン汁を少し加えれば、甘さが引き締まり、夏にぴったりのおやつに。簡単なのに新鮮な味わいを楽しめるアレンジです。
トッピングでアレンジ
お好みでナッツやココナッツフレークをトッピングすれば、食感と香ばしさが加わり、また違ったおいしさに。アーモンドやピスタチオを細かく砕いてのせると、甘さとのバランスが絶妙です。甘党の方には、バターやはちみつを少量プラスして、濃厚で満足感のある味わいに仕上げるのもおすすめです。
グラブジャムンのカロリーはどのくらい？
世界一甘いグラブジャムンには、たっぷりの砂糖が使われているため、「カロリーがちょっと気になる……」という方もいるかもしれません。
日本でよく見かけるグラブジャムンといえば、ハルディラムの商品です。
このハルディラムのグラブジャムンは、100gあたり316kcalと、かなり高カロリーなスイーツ。さらに100gあたり約40gの糖分が含まれています。甘さの理由はこの数字を見れば納得ですね。
注目すべきはその内容量。1缶に1kg入っているので、合計3160kcalにもなりますが、しっかりとした甘さのおかげで、少量でも満足感が得られます。一口サイズで食べやすく、甘党の方にはたまらないスイーツと言えるでしょう。
グラブジャムンの名前の由来と歴史に迫る
グラブジャムンの名前は、ヒンディー語の「Gulab（グラブ）」と「Jamun（ジャムン）」に由来しています。「Gulab」は「バラ」を意味し、シロップに使用されるローズウォーターを指しています。一方、「Jamun」はインド特有の果実ムラサキフトモモのことで、その丸い形がグラブジャムンの見た目と似ていることから名付けられました。
グラブジャムンの歴史には諸説あります。
そのルーツは、古代ギリシャの揚げ菓子「ルクマデス」に由来するとされています。ルクマデスは地中海地域やアラブ地域に広がり、さまざまな文化の中で親しまれてきました。
一方で、12〜13世紀ごろには、インドにもグラブジャムンの原型となるお菓子がすでに存在していたとも言われています。いずれにしても、グラブジャムンは非常に長い歴史を持つ伝統的なお菓子です。
その後、こうしたルーツとなるお菓子がインドの砂糖製造技術やスパイス文化と組み合わさり、現在のグラブジャムンへと進化しました。
グラブジャムンは結婚式や誕生日、宗教的な祭りなど、人々が喜びを分かち合う場で欠かせない存在で、受け継がれてきました。家族や友人と甘さを共有することで、祝福や幸せを象徴するお菓子として愛されています。
インドには甘いスイーツがまだまだある！
世界一甘いお菓子として「グラブジャムン」をご紹介しましたが、実はインドには他にも同じくらい甘いお菓子がいくつもあります。ここからは、その代表的なものをご紹介します。
ふわふわ食感が魅力の「ラスグッラ」
カッテージチーズと小麦粉で作った生地を甘いシロップで煮込み、ローズウォーターで香り付けしたスイーツです。「スイーツの王様」と呼ばれるほど特別感のあるお菓子で、ふわふわとした食感が特徴です。
見た目が華やかで食感が楽しい「ジャレビ」
プレッツェル状に揚げた生地を鮮やかなオレンジ色のシロップに浸したもので、インド版のかりんとうとも言える存在です。見た目が華やかで、カリッとした食感も楽しくお祝いの席にぴったりのお菓子です。
濃厚で高級感のある「カジュカトリ」
カシューナッツをペースト状にして作る薄いお菓子で、濃厚な甘さが特徴です。銀箔で装飾されていることが多く、高級感があります。
インドで甘いお菓子が多い理由とは？
インドには、グラブジャムンやラスグッラといった、甘いお菓子が数多くあります。その理由について探っていきましょう。
砂糖が日常に自然と溶け込んだから
インドは古くから砂糖作りが盛んで、「砂糖の起源」とも言われるほど、その歴史は深いものです。高温多湿な気候では、砂糖を使うことで食べ物の保存性が高まり、自然と甘いお菓子が日常に定着していきました。
植民地時代を経て独立後、経済成長とともに甘いお菓子は人々にとって手に入りやすいものとなり、楽しみの一つとして広く受け入れられるようになりました。
信仰とともに甘い文化が受け継がれたから
インドでは、ヒンドゥー教をはじめとする多くの宗教が暮らしの中に根付いています。特にヒンドゥー教では、神様へのお供え物として甘いお菓子が欠かせません。
寺院で配られる「プラサード」と呼ばれるお菓子は、神聖なものとして大切にされており、結婚式やお祭り、祝い事の場にも甘いお菓子が登場します。こうした伝統が、地域ごとにさまざまなお菓子を生み出し、今も大切に受け継がれています。
食文化とのバランスで親しまれてきたから
インド料理の特徴といえば、スパイスをふんだんに使った「辛い料理」が真っ先に思い浮かぶかもしれません。しかし、インドではこの辛さを和らげるために、食後やティータイムに甘いものを楽しむ文化が根付いています。
たとえば、辛いカレーの後に食べるグラブジャムンや、食後に飲む甘いチャイは、インドの家庭ではごく自然な組み合わせです。料理とスイーツが互いを引き立て合い、食事の満足度を高めていることから親しまれています。
世界一甘いグラブジャムンを味わってみよう
濃厚な甘さと豊かな香りが魅力のグラブジャムンは、インドを代表する国民的スイーツとして、多くの人々から愛され続けています。その歴史や文化を知ると、その一口がさらに深く、特別に感じられるはずです。
日常のティータイムやデザートに、世界一甘いインドのお菓子グラブジャムンを取り入れてみてはいかがでしょうか。